第46回 動物⽣命科学研究センター学術講演会

演 題:「ヒトナイーブ型iPS細胞を⽤いた初期発⽣解析 」
演 者:高島康弘 先生 (京都⼤学iPS細胞研究所 特定拠点講師)   
日 時:平成30年10月17日(水) 17:00~
場 所:基礎研究棟2階 教職員ロビー

〈講演要旨〉

多能性幹細胞であるiPS細胞やES細胞は、自己複製能と呼ばれる長く安定し分裂、未分化性を維持できる能力を持つ。同時に多分化能と呼ばれる三胚葉に分化する能力を持つ。この能力のため、多能性幹細胞は再生医療を含めた多方面で有用な細胞として期待されている。

マウスにおいては、着床前の初期胚から樹立されるナイーブ型であるES/iPS細胞と着床後の胚より樹立されるプライム型と呼ばれるマウスエピブラスト幹細胞の2つの多能性幹細胞が存在することが知られている。多能性幹細胞であるヒトES/iPS細胞はFGFとアクチビンのシグナルを利用し、樹立される。マウスと異なり現行のヒトES/iPS細胞はプライム型と考えられ、分化した状態であると考えられる。霊長類ES/iPS細胞もプライム型である。

我々はプライム型のヒトES/iPS細胞を用いて、ヒト着床前エピブラストに近いナイーブ型細胞へとリセットすることに成功した。ナイーブ型細胞は、着床前の未分化な状態にリセットされているため、ヒト着床前胚の初期発生、分化を解析することに有効であると同時に、エピジェネティックにリセットされており、より白紙に近い未分化状態であるため、分化誘導や応用に対しても有用な細胞になる可能性を持っている。

現在、我々はヒトナイーブ型多能性幹細胞の分化能力、特に胚体外細胞である原始内胚葉への分化を解析している。本セミナーではヒトナイーブ型多能性幹細胞およびヒト着床期の発生に関し、発表する。

*本講演は大学院の医学総合研究特論の一環として認定されています。

依馬 正次
滋賀医科大学、動物生命科学研究センター
幹細胞・ヒト疾患モデル研究分野

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